街の宝石店や書物では得られない、本物のジュエリーについてお話しいたます。
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ルビーの季節
7月ももうすぐ終わりとなりますね。
夏はルビーの季節です。
燃えるような赤色を見ると、夏の到来を感じます。
古代の人々は、宝石と惑星を関連付けて考えていました。
空で美しく輝く星には、手が届かないけれど、
それを地上にうつしたのが、宝石という考え方なのでしょうか。
ルビーと関連付けられたのは、そうです。「火星」です。
火星の守護神は、マルス(戦いの神様)なので、
ルビーの守護神もマルスになります。
何か勝負事に出るときは、ルビーを身に着けてみては?
きっとルビーが、あなたに勝利をもたらしてくれることでしょう。
ご相談No.0140の答
色の変わる宝石で、最も有名なのは「アレキサンドライト」ではないでしょうか。
アレキサンドライトが、太陽光の下では緑色に、白熱電灯の下では赤色に変化するのは、宝石に含まれている微量のクロム(Cr)が原因です。クロムは黄色系のスペクトルを吸収するので、赤色と緑色の光を透過します。
ルビーやエメラルドにも微量のクロムが含まれているのですが、赤色の透過量の方が多いのがルビー、緑色の透過量の方が多いのがエメラルドになります。
アレキサンドライトは、丁度その中間にあると思って下さい。
従って、青色系の光の下では緑色に、赤色系の光の下では赤色に見えるわけです。このような性質を「変色効果(change of color)」といいます。
変色効果は、アレキサンドライト以外にも、サファイア、ガーネット、トルマリンにも見られ、これらの宝石は、カラーチェンジタイプと呼ばれています。
それ以外には、「カメレオンダイヤモンド」があります。これは、温度によって色が変化するダイヤモンドです。
ある期間(例えば一晩中)暗所に保管した場合や、緩やかな加熱(アルコール・ランプなどで200℃~300℃程度)によって、数秒から数分間色が変化します。
オリーブグリーンから、黄色やオレンジ色に変化することが多いようです。
色変化のメカニズムについては、未解明な部分が多いのですが、ダイヤモンドに大量に含有されている水素に関連していると考えられています。
「ハックマナイト」は、紫外線を当てると、白っぽい色から紫色に変化します。紫外線を当てるのをやめると、(しばらくして)元に戻ります。これは、ハックマナイトに含有される硫黄(S)に起因していると言われています。
「フローライト」は、紫外線を当てると強い蛍光を示す宝石で、和名を「蛍石」といいます。その中で、イングランド産の太陽光でも蛍光するフローライトは、「イングリッシュフローライト」と呼ばれ、人気があるようですね。
ご相談No.0139の答
レッドスピネルとルビーは、成分や成因がとても似ている宝石です。
また(だから?)、ほぼ同じ場所で産出されます。そして、外観が本当にそっくりなのです。そのため、大変長い間、レッドスピネルはルビーと同じ宝石だと思われてきました。
1546年に、ドイツの鉱山学者アグルコーラがスピネルを別の宝石として命名しましたが、スピネルが明確に認識されるようになったのは、1783年になってからのようです。
その後、改めて鑑別を行うと、「ルビー」と呼ばれていた多くの「レッドスピネル」の存在が明らかになりました。
たとえば、英国王室の大礼用王冠「インペリアル・ステート・クラウン」の中央前部にある170ctの「黒太子のルビー」、エカテリーナ1世の王冠の宝石、ムガール帝国の皇帝の名が刻まれている352ctの「チムール・ルビー」等。
王権の象徴である王冠の中で、その豪華な美しさを称えられながら、ルビーと呼ばれ続け、何世紀も本名を知られずにいた。それが、「レッドスピネル」なのです。
スピネルの産出量は、実は、ルビーより遥かに少なく、例えばミャンマーでは、ルビーの約5分の1にしか過ぎないといわれています。
希少性は大変少ないのですが、そのために市場に出る量も少なくなり、多くの人にその価値を知ってもらうこと(知名度を上げること)ができませんでした。誰も知らない宝石を欲しいとは思いませんよね。
そのため、レッドスピネルは、ルビーと同じくらいの美しさであっても、価格は半分くらいでしかありませんでした。
しかし、最近では、ルビーの加熱処理が複雑化するのにつれて、未処理のレッドスピネルの価値が見直され始めてきています。
そして、レッドスピネルの存在が知られるにつれて、その評価もだんだん高くなってきています。
日本のジュエリーショップでも見かけるようになりましたので、是非、ご覧になって下さい。
ご相談No.0138の答
「人工宝石」と呼ばれるものには、厳密に言うと、「合成石」、「人造石」および「模造石」の3種類があります。
「模造石」とは、天然の宝石と外観を似せて作られたガラスやプラスチックのことです。これは、天然の宝石とは、鉱物的に全く異なります。
さらに、割れたり、欠けたり、色がとれたりしやすいので、皆さんも宝石ではなく、「アクセサリー素材」と認識しているようです。
「人造石」とは、人間が作った結晶で、自然界には存在しないもののことです。キュービックジルコニア等が、これに相当します。
ダイヤモンドとキュービックジルコニアは、外観は似ていますが、別の結晶であり、鉱物学的には全く違うものになります。
「合成石」とは、人間が作った結晶で、自然界に存在するもののことです。合成ルビーや合成エメラルド等が、これに相当します。
天然ルビーと合成ルビーは、鉱物学的には同じ結晶になります。つまり、同じ化学組成、構造、物理的・光学的性質を持っているということです。
合成ルビーが初めて市場に登場した20世紀の初め、やはり、人々は同じ脅威を感じました。
しかし、それから100年経過した今でも、合成石が天然の宝石に取って変わってはいません。
私は、一般の方々向けの講座の中で、何も言わずに、天然の宝石と合成石を見せて、「どちらが美しいと思いますか?」と質問してみることがあるのですが大概の方は、天然の宝石を指します。
合成石は、実験室で人間が製造するものなので、不純物の全く含まれない化学的に「きれいな」結晶であるのにもかかわらずです。
天然の宝石の持つ魅力は、きっともっと奥の深いものなのでしょう。
鉱物的に同じものを作ることはできても、人々を感動させる宝石の魅力まで再現することは、今のところ、人間には、まだ無理だということなのではないでしょうか。